もみじの家が、NHKラジオ第一放送で特集されます!
8月29日(月)午後2時5分~2時55分「ごごラジ!」というラジオ番組です。
内多ハウスマネージャーが、生出演します。
皆様、ぜひ、お聞きください。
スペシャルボランティア報告第2弾!アロマオイルでハンドマッサージ
アロマセラピストの女性が、オイルを使って手のひらから腕にかけて優しくほぐしてくれます。もみじの家を利用中の2家族が参加してくれました。
ローズマリーなどで香りを付けた温かいお湯に手を浸した後、本格的なマッサージが始まります。
柔らかいアロマの香りを感じながら、両手でしっかりもんだりコリをほぐしたり、自然と「気持ち良いです」と言葉が漏れていました。
「頭の中を空っぽにして、1人になれる貴重な時間でした。リラックスして、ほぐれて、力が抜けて・・・もみじの家の中で、安心して参加できました。」
別のお母さんは、こんな風に喜びを表していました。
「物ではなく、時間をプレゼントしていただいたようで、嬉しかったです。」
いつも気の抜けない時間を過ごしているお母さんたちにとっては、手のマッサージに加えて、心のマッサージにもなったのかもしれません。
「もみじの家」が、続々と紹介されています!
ありがたいことに、「もみじの家」には開設当初から、様々なメディアから取材の申し込みをいただいております。まだまだ知名度のない施設ですので、関心を持って下さるのは非常に嬉しいことです。7月に掲載された、2つの記事をご紹介しましょう!
①「福祉広報」(東京都社会福祉協議会の広報誌)
社会福祉NOW “重い病気や障害をかかえた子どもの成長を支えられる地域社会へ”
http://www.tcsw.tvac.or.jp/koho/fukushiNow/20160708-2807now.html
②「看護roo!」(ナースのコミュニティサイト)~滝本悦子・看護師長インタビュー
“「もみじの家」で子どもと家族が笑顔に|看護師にしかできないこととは?”
スペシャルボランティア、本格始動!
「もみじの家」には、スペシャルボランティアと呼ばれる人たちが19人います。「ガーデニング」「裁縫」「小物の制作」など、それぞれの特技を活かして、もみじの家にやってくる子どもたちや家族のために役立ちたいと願う皆さんです。7月から、いよいよスペシャルボランティアの活動が本格的にスタートしました!
<その人にピッタリの香りをプレゼント>
ボランティアを志願して下さったのは、香りを調合する“調香師”の女性です。今回は、もみじの家を利用しているお母さんお一人の参加でした。まずは、どんな香りを好むのか、あるいは苦手なのかを細かく分析した後、グレープフルーツやジャスミンなど6種類をブレンドしたオリジナルの香水を作ってくれました。さわやかな香りがくつろぎと笑顔を誘い、2時間があっという間に過ぎていきました。
お母さんの感想です。「子どもを安心して任せられるので、時間を気にすることなく、すごく楽しめました。日頃は疲れていて新しく何かを始めるのは無理だけど、知らない世界に触れることができてありがたかったです。」
自分だけの香水をプレゼントされたお母さんは、嬉しそうにお子さんの名前を香水瓶に記していました。
成育を受診されていないお子様もご利用ができるようになりました。
7月1日より、成育を受診されていないお子様もご利用ができるようになりました。
今は、どこにお住まいでも、どの医療機関で診察を受けていても、ご利用が可能です。
その他のご利用条件については、下記リンクをご確認下さい。
“子どもホスピス”の起源 ヘレン・ダグラス・ハウスの思想とは?
世界初の“子どもホスピス”ヘレン・ハウスの歴史
ヘレン・ハウスは、1982年にイギリスのオックスフォードにオープンした世界で最初の小児ホスピスです。教会のシスターをしていたフランシス・ドミニカさんが、知り合いの親御さんから重い病気を抱えたヘレンという2歳の女の子を預かったことから、ヘレン・ハウスの歴史は始まりました。
親としては、その子がたとえ重い病気を抱えていたとしても、家でケアをしながら一緒に過ごしたいと思うのはごく自然な気持ちだと思ういます。しかし、そうなると親御さんは昼夜問わず24時間その子のケアをしなければならなくなります。と同時に、他の子どもたちも育て、家事も行い、働いて収入も得なければならなりません。そうした負担が重なってしまうと、一家は社会的に孤立しかねません。
ヘレンを預かったシスター・フランシスは、そんな親御さんの状況に気付き、彼らの負担を少しでも取り除こうと、医療ケアが必要な子どもを一時的に預かることができる施設として子どもホスピスの設立を決意したのです。
青少年向け小児ホスピス ダグラス・ハウスの誕生
医療の進歩に伴い、過去には幼くして亡くなっていた病気の子どもたちが、もう少し長く生きることができるようになってきました。ただし、思春期を超えてくると小児を対象としているヘレン・ハウスの施設では合わなくなってくる部分がありました。
一方で、従来の大人向けのホスピスは終末期の患者さん(主に高齢者)が最期の時を過ごす場所という色が強く、ヤングアダルトの彼ら自身や、彼らの両親のニーズには合っていませんでした。
ダグラス・ハウスは、そんな彼・彼女らのために、ヘレン・ハウスの理念を継承し規模を拡大する形で、もう少し上の年齢層となるヤングアダルト(16歳以上)を対象として、ヘレン・ハウスに隣接する形で2004年にオープンしました。写真のとおり、バーカウンターなんてものもあるんです。
「旅人が休息をとる施設」という語源から、これまでの医療の枠を超えて
ヘレン・ダグラス・ハウスでは、医療者以外にも多様なスタッフ・ボランティアが一緒に働いています。子どもたちだけでなく、兄弟・姉妹や親御さん、そして子どもの同級生や今会いたい人と、安心して楽しく過ごせるような開放的で穏やかな雰囲気が そこにあります。
また、余命が僅かな子どもと死別するまでの時間――自宅で亡くなることを望まない家族や、生まれてから死ぬまでずっと病院でしか過ごせない子どものための空間もあります。そして、亡くなってしまった子どもの家族、親御さんや兄弟・姉妹のサポート(グリーフケアと言います)も行なっています。子どもとの死別・喪失体験における哀しみを、少しでも分かち合い、支え合うための機会を作り出しているのです。
ホスピスという言葉の語源は、ラテン語のhospesに由来します。hospesとは「見知らぬ人、客人(ゲスト)」 を指します。この言葉から派生した単語・Hospitality(丁重にもてなすこと)から、ホスピスは「丁重に手厚くもてなす」施設であると言えます。
ヘレン・ダグラス・ハウスは、子どもにとっては治療を目的とした病院でなく、普段の家庭でのケアを受けながら、子どもらしい自由なひとときを過ごせる場所。家族にとっては、医療ケアの負担から離れた穏やかな休息の時間を持てる場所になってるのです。
そして、この度 国立成育医療研究センターが開設する医療型短期滞在施設「もみじの家」もまた、ヘレン・ダグラス・ハウスと思想を同じくした施設として、重い病気を持つ子どもと家族が 穏やかなくつろぎのひとときを過ごす場所でありたいと思っております。
終末期だけではない、“子どもホスピス”
“深く生きる”―充実した生のひとときのために
国立成育医療研究センターの医療型短期滞在施設「もみじの家」だけでなく、全国では重い病気や障害を抱えた子どもとその家族を受け入れる施設の建設・開設が相次いでいます。
こうした施設の思想は、英国で誕生した‟子どもホスピス”由来のものを継承していますが、一般的な(高齢者向けの)ホスピスが終末期の緩和ケアや「看取り」に重点を置くのに対し、‟子どもホスピス”は重い病気を持つ子ども本人だけでなく親、兄弟・姉妹など家族全員の支援を目的とするところに特徴があります。
世界初の‟子どもホスピス”ヘレン・ハウスは、1982年にイギリスのオックスフォードにオープンした世界で最初の小児ホスピスです。教会のシスターをしていたフランシス・ドミニカさんが、知り合いの親御さんから重い病気を抱えたヘレンという2歳の女の子を預かったことから、ヘレン・ハウスの歴史は始まりました。
ヘレンは、脳腫瘍だったそうです。フランシス・ドミニカさんは、ヘレンを修道院で預かり、母親に休息の機会を与えました。これがきっかけとなって同じような境遇の家族が集まり、イギリス国内から多くの寄付を集め、同様の施設がつくられていきました。
ヘレン・ハウスの思想“深く生きる”――イギリスだけでなく日本でも“深く生きる”というコンセプトを踏襲し、重い病気を持つ子どもと家族がその人らしい生活のできる場所を作ろうとする動きが出てきています。
生命の危機を救命医療で乗りこえた先にある、重い病気を持つ子どもと家族の生活とは
医療の進歩によって、その生活と家族のかたちは多様化しつつあります。それに合わせて、‟子どもホスピス”に向けられるニーズは大きく変わって来ているといえます。
かつては亡くなってしまっていたような難病の子どもの生存率が大きく改善されたものの、重い病気を持つ子どもと家族の生活は、生命の危機を救命医療で乗りこえた先にあります。
たとえば、寝たきりで手足を動かすことのできない子どものケアでは、吸引・体位変換を5~30分間隔、よくもって1時間(このケアは、深夜・早朝であっても24時間続きます)の間隔でしなければならず、体調が悪いと3~5分間隔で必要になります。夜間の「たん」吸引は通常1~2回ですが、子どもの体調によっては介護者は眠れないこともあり、こうした介護者の平均睡眠時間は5~6時間とされています。
退院した後も続く、家族の医療ケアの負担は、子どもの状態だけでなく地域によっても大きくことなります。それが何故かと言うと、一時的に子どもを預ける短期入所施設など、地域ごとに存在する社会資源の量と質とが異なるからなのです。小児を対象とした訪問看護ステーション(自宅まで医療者が来てケアを施してくれる)も多くあるとはいえず、身体障害者手帳・療育手帳の対象とならない人は、家庭で日常生活を過ごす上で困難であってもサービスや支援を受けづらい状況にあります。また、重い病気を持つ子どもは医療ケア(人工呼吸管理、中心静脈栄養など)を常時必要とするため、そうしたケアのできる施設が既存の教育機関・福祉機関にほとんどないのが現状です。学校で受け入れた場合も、医療ケアを要する場合には養育者の付き添いが必要と言われ、親の自由な時間が取れないこともあります。
全国的に見ても、医療ケアが必要な子どもの家族への支援は少なく、保育や教育も充分に受けられていないのが現状です。そして、親や兄弟・姉妹などの生活も大きく制限されてしまいます。そのため、子どもや家族は地域の中で孤立してしまうこともあります。
医療の安心を土台とする“子どもホスピス”に向けられるニーズ
ここに、医療型の短期滞在施設の存在意義があります。こうした施設のゲストとして来られる家族にとって、限られた時間を家族と一緒に過ごしたり、子どもを一時的に預かってもらい休息したりすることはとても大切なことです。子どもの自分らしいひとときのためには、重い病気を持つ子どもの生命の安全を支える医療ケアと、成長や発達を支える学び・遊びのひとときが必要です。そして、家族にとっては休息と くつろぎのひとときが必要です。
こうしたひとときのためには、終末期や「看取り」のための空間だけでなく、普段の生活の延長線上にある、いわば普段着の空間が必要になると考えれられます。そこでは、医療専門職の医療ケアによる安心という土台が不可欠です。
医療専門職の医療ケアと地域の方々の支援とが折り重なって、その人らしい生活を支えるような“子どもホスピス”の動きが、今後さらに広がっていくことを願っています。